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秋風に鱸釣り舟走るめり
そのひとはしの名残慕ひて

歌の意味
秋風に吹かれて、鱸を釣る舟が走ってゆくようだ。そのわずかな名残を慕って。
鑑賞
雑歌 1396

詞書なし
 秋風に吹かれて、鱸を釣る舟が走ってゆくようだ、そのわずかな名残を慕い求めて、と詠む。
 秋の鱸漁の舟が風を受けて走るさまを描いている。下の句の「ひとはし」は語義がとりにくく、一首の解釈は定まらないが、去りゆく秋の名残を求めて走る舟と解した。「鱸」に、秋の穂の「すすき」を響かせているとも見られる。

 初句「秋風に」は、秋風に吹かれて、の意である。
 二句「鱸釣り舟」は、鱸を釣る舟、の意で、秋の薄を響かせている。
 三句「走るめり」の「めり」は推定の助動詞で、走ってゆくようだ、の意を表し、三句切れとなる。
 四句「そのひとはしの」は、語義がとりにくいが、そのわずかな一端の、の意に解される。
 結句「名残慕ひて」は、名残を慕って、の意で、倒置によって舟が走る理由を示している。

すずき:秋に獲れる魚の名
ひとはし:一端、わずかな部分
作者
西行
出典
山家集
前の歌
見るも憂きは鵜縄に逃ぐるいろくづを 逃らかさでもしたむ持ち網
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年経たる浦の海人人言問はん 波を潜きて幾世過ぎにき