年経たる浦の海人人言問はん
波を潜きて幾世過ぎにき
- 歌の意味
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年を重ねた浦の海人に尋ねてみよう。波に潜りながら、どれほどの年月を過ごしてきたのかと。
- 鑑賞
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雑歌 1397
詞書「新宮より伊勢の方へまかりけるに、三木島に舟の沙汰しける浦人の、黒き髪は一筋もなかりけるを呼び寄せて」
熊野の新宮から伊勢の方へ向かう途中、三木島で舟の世話をしていた浦人が、黒い髪が一筋もない白髪の老人であったので、呼び寄せて詠んだ一首である。年を重ねた浦の海人に尋ねてみよう、波に潜りながら、どれほどの年月を過ごしてきたのかと、と詠む。
海の暮らしに生涯を送った老漁師への、敬意と関心とを込めた問いかけである。次の第千三百九十八首と一組で、同じ老人を詠んでいる。
初句「年経たる」は、年を重ねた、の意である。
二句「浦の海人人」は、浦の漁師に、の意である。
三句「言問はん」の「ん」は意志の助動詞で、尋ねてみよう、の意を表し、三句切れとなる。
四句「波を潜きて」は、波に潜りながら、の意である。
結句「幾世過ぎにき」は、どれほどの年月を過ごしてきたのか、の意で、尋ねる内容を示している。
こととふ:尋ねる、話しかける
かづく:水に潜る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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秋風に鱸釣り舟走るめり そのひとはしの名残慕ひて
- 次の歌
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黒髪は過ぐると見えし白波を 潜き果てたる身には知れ海人