古典和歌stream

桃園の花にまがへる照り鷽の
群れ立つ折は散る心地する

歌の意味
桃園の花と見まがうほどの照鷽が、群れて飛び立つときは、花が散るような心地がする。
鑑賞
雑歌 1400

詞書は前の歌に続き「小鳥どもの歌よみける中に」
 桃の花の咲く園で、桃の花と見まがうほど赤い胸をした照鷽が、群れて飛び立つときは、まるで花が散るような心地がする、と詠む。
 照鷽は胸の赤い鷽の雄のことで、その色を桃の花に見立て、飛び立つさまを花が散ることに重ねている。前歌の鶸と柳の見立てと対をなす、色の見立ての歌である。

 初句「桃園の」は、桃の咲く園の、の意で、字余りとなっている。
 二句「花にまがへる」は、花と見まがう、の意である。
 三句「照り鷽の」の「照り鷽」は、胸の赤い鷽の雄である。
 四句「群れ立つ折は」は、群れて飛び立つときは、の意である。
 結句「散る心地する」は、花が散るような心地がする、の意である。

てりうそ:胸の赤い鷽の雄
作者
西行
出典
山家集
前の歌
声せずは色濃くなると思はまし 柳の芽食む鶸の群鳥
次の歌
並びゐて友を離れぬ小雀の ねぐらに頼む椎の下枝