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立ちのぼる月のあたりに雲消えて
光重ぬる七越の峰

歌の意味
昇ってゆく月のあたりから雲が消えて、光をいくえにも重ねる七越の峰であることよ。
鑑賞
雑歌 1403

詞書「熊野へ参りけるに、七越の峰の月を見て、よみける」
 熊野へ参詣する途中、七越の峰の月を見て詠んだ一首である。昇ってゆく月のあたりから雲が消えて、光をいくえにも重ねて照らす七越の峰であることよ、と詠む。
 「七越」の名の「七」に、光を「重ぬる」を響かせ、幾重にも重なる峰々に月の光が照り映えるさまを描いている。熊野の霊山の月の神々しさが表れた一首である。

 初句「立ちのぼる」は、昇ってゆく、の意である。
 二句「月のあたりに」は、月の周りに、の意である。
 三句「雲消えて」は、雲が消えて、の意である。
 四句「光重ぬる」は、光を重ねる、の意で、峰の名の「七」に通じている。
 結句「七越の峰」は熊野の峰の名で、体言止めとなっている。

ななこしのみね:熊野にある峰の名
作者
西行
出典
山家集
前の歌
月の澄む御祖川原に霜冴えて 千鳥遠立つ声聞こゆなり
次の歌
敷き渡す月の氷を疑ひて ひびの手まはる味の群鳥