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眺め居りて月の影にぞ世をば見る
すむもすまぬもさなりけりとは

歌の意味
眺めていて、月の光によってこそ世の中を見ることだ。住むことも住まないことも、月が澄むことも澄まないことも、そうしたものなのだと。
鑑賞
雑歌 1406

詞書なし
 月を眺めていて、その月の光によってこそ、世の中というものを見ることだ、月が澄むことも澄まないことも、この世に住むことも住まないことも、みなそうしたものなのだと、と詠む。
 「すむ」に住むと澄むとを掛け、月の澄み曇りと、世に住むこと住まないこととを重ね、無常のこの世のありさまを月に悟っている。遁世者の、月を通して世を観ずる境地を表している。

 初句「眺め居りて」は、眺めていて、の意で、字余りとなっている。
 二句「月の影にぞ」の「ぞ」は強意の係助詞で、三句の連体形「見る」と係り結びをなす。
 三句「世をば見る」は、世の中を見る、の意で、三句切れとなる。
 四句「すむもすまぬも」の「すむ」は、「住む」と「澄む」を掛けた掛詞で、住むことも住まないことも、澄むことも澄まないことも、の意を表す。
 結句「さなりけりとは」は、そうしたものだと、の意で、倒置によって悟った内容を示している。

すむ:「住む」と「澄む」を掛ける
作者
西行
出典
山家集
前の歌
いかで我心の雲に塵据ゑで 見るかひありて月を眺めん
次の歌
雲晴れて身に憂へなき人の身ぞ さやかに月の影は見るべき