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露もありつ返す返すも思ひ知りて
ひとりぞ見つる朝顔の花

歌の意味
露も置いていたのに、もう消えてしまった。繰り返しはかなさを思い知って、一人で見たことだ、朝顔の花を。
鑑賞
雑歌 1414

詞書なし
 さっきまで露も置いていたのに、もう消えてしまった、そのはかなさを繰り返し思い知りながら、一人で朝顔の花を見たことだ、と詠む。
 朝に咲いて昼にはしぼむ朝顔と、すぐに消える露とは、ともに無常の象徴である。それをただ一人で見つめ、世のはかなさを繰り返し思い知る遁世者の姿が描かれている。以下、遁世と述懐をめぐる歌が続く。

 初句「露もありつ」の「つ」は完了の助動詞で、露も置いていた、の意を表し、初句切れとなる。
 二句「返す返すも」は、繰り返し繰り返し、の意である。
 三句「思ひ知りて」は、思い知って、の意で、字余りとなっている。
 四句「ひとりぞ見つる」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「つる」と係り結びをなす。
 結句「朝顔の花」は体言止めで、はかなさの象徴を余韻として残している。

あさがほ:朝顔。はかないもののたとえ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
いつか我この世の空を隔たらん あはれあはれと月を思ひて
次の歌
ひときれは都を捨てて出づれども 巡りてはなほ木曽の懸け橋