古典和歌stream

瀬を早み宮滝川を渡り行けば
心の底の澄む心地する

歌の意味
瀬の流れが速いので、宮滝川を渡ってゆくと、心の底まで澄みわたるような心地がする。
鑑賞
雑歌 1426

詞書「龍門に参るとて」
 大和の龍門寺に参詣する途中で詠んだ一首である。瀬の流れが速いので、清らかな宮滝川を渡ってゆくと、心の底まで澄みわたるような心地がする、と詠む。
 宮滝川は吉野川の上流で、宮滝は古くから名勝として知られる。速い流れの清らかな水を渡ることで、心まで清められるという、清浄な水と心とを重ねた一首である。

 初句「瀬を早み」の「み」は原因を表す接尾語で、瀬の流れが速いので、の意である。
 二句「宮滝川を」は、吉野川の宮滝のあたりの川を、の意である。
 三句「渡り行けば」は、渡ってゆくと、の意で、字余りとなっている。
 四句「心の底の」は、心の底まで、の意で、川の底を響かせている。
 結句「澄む心地する」は、澄みわたる心地がする、の意である。

みやたきがは:大和国の吉野川の宮滝のあたり
作者
西行
出典
山家集
前の歌
流れ見し岸の木立もあせ果てて 松のみこそは昔なるらめ
次の歌
思ひ出でて誰かはとめて分けも来ん 入る山道の露の深さを