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盛りならぬ木もなく花の咲きにけると
思へば雪を分くる山道

歌の意味
盛りでない木もなく、どの木にも花が咲いたのだと思ったら、雪を分けて行く山道であった。
鑑賞
雑歌 1431

詞書なし
 盛りでない木は一本もなく、どの木にも花が満開に咲いたのだと思ったら、実は雪を分けて行く山道であった、と詠む。
 木々に積もった雪を満開の花に見立て、それが雪だと気づく驚きを詠んでいる。本巻の第千三百六十一首でも、雪を木を分かたず咲く花に見立てていた。字余りの多い、ゆったりとした調べの歌である。

 初句「盛りならぬ」は、盛りでない、の意で、字余りとなっている。
 二句「木もなく花の」は、木もなく花が、の意である。
 三句「咲きにけると」の「にける」は完了と過去で、咲いたのだと、の意で、字余りとなっている。
 四句「思へば雪を」は、思ったら雪を、の意である。
 結句「分くる山道」は、分けて行く山道で、体言止めとなっている。

さかり:盛り、最も盛んな時
作者
西行
出典
山家集
前の歌
緑なる松に重なる白雪は 柳の衣を山に覆へる
次の歌
波と見ゆる雪を分けてぞ漕ぎ渡る 木曽の懸け橋底も見えねば