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沢も解けず摘めど筐にとどまらで
目にもたまらぬゑぐの草茎

歌の意味
沢もまだ解けず、摘んでも籠にはとどまらずに、目にも留まらないほどのえぐの草の茎であることよ。
鑑賞
雑歌 1434

詞書なし
 沢の氷もまだ解けず、摘んでも小さすぎて籠にはとどまらず、目にも留まらないほどわずかな、えぐの草の茎であることよ、と詠む。
 えぐは、芹に似た水辺の草で、早春に摘まれた。まだ寒い沢で、芽生えたばかりの小さなえぐを摘む難しさを描いている。語義のとりにくいところがあるが、ここでは右のように解した。

 初句「沢も解けず」は、沢の氷もまだ解けず、の意で、字余りとなっている。
 二句「摘めど筐に」は、摘んでも籠に、の意で、「筐」は竹で編んだ籠である。字余りとなっている。
 三句「とどまらで」の「で」は打消の接続助詞で、とどまらずに、の意である。
 四句「目にもたまらぬ」は、目にも留まらない、の意である。
 結句「ゑぐの草茎」の「ゑぐ」は水辺に生える草の名で、体言止めとなっている。

ゑぐ:水辺に生える草の名
かたみ:竹で編んだ目の細かい籠
作者
西行
出典
山家集
前の歌
真鶴は沢の氷の鏡にて 千歳の影をもてやなすらん
次の歌
君がすむ岸の岩より出づる水の 絶えぬ末をぞ人も汲みける