古典和歌stream

時雨初むる花園山に秋暮れて
錦の色をあらたむるかな

歌の意味
時雨が降りはじめた花園山で秋が暮れて、錦の色を改めて新たにすることよ。
鑑賞
雑歌 1440

詞書なし
 時雨が降りはじめた花園山で秋が暮れてゆき、紅葉の錦の色をあらためて新しく染め直すことよ、と詠む。
 花園山は都の西の花園の地の山で、その名の「花」と、秋の紅葉の「錦」とを取り合わせている。時雨が紅葉を染めるという和歌の伝統的な考えを踏まえ、秋の終わりに紅葉がいっそう色を深めるさまを描いている。前歌の時雨に続き、時雨と紅葉の歌である。

 初句「時雨初むる」は、時雨が降りはじめる、の意で、字余りとなっている。
 二句「花園山に」は、都の花園の地の山に、の意である。
 三句「秋暮れて」は、秋が暮れて、の意である。
 四句「錦の色を」は、紅葉の錦の色を、の意である。
 結句「あらたむるかな」は、新たにすることよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。

はなぞのやま:山城国花園の地の山
作者
西行
出典
山家集
前の歌
秋の色は風ぞ野もせに敷き渡す 時雨は音を袂にぞ聞く
次の歌
波に敷く紅葉の色を洗ふゆゑに 錦の島と言ふにやあるらん