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波に敷く紅葉の色を洗ふゆゑに
錦の島と言ふにやあるらん

歌の意味
波に敷き散った紅葉の色を、波が洗っているので、錦の島と言うのであろうか。
鑑賞
雑歌 1441

詞書「伊勢の磯の辺路の錦の島に、磯曲の紅葉の散りけるを」
 伊勢の磯の辺路にある錦の島で、入り組んだ磯辺の紅葉が散っていたのを見て詠んだ一首である。波の上に散り敷いた紅葉の色を、波が洗っているから、錦の島と言うのであろうか、と詠む。
 島の名「錦」の由来を、波に洗われる紅葉の色に求めた機知の歌である。錦を水で洗うと色が鮮やかになるとされたことも踏まえていると見られ、本巻の第千百九十四首で、色の浜の名の由来を詠んだのと同じ趣向である。

 初句「波に敷く」は、波の上に散り敷く、の意である。
 二句「紅葉の色を」は、紅葉の色を、の意である。
 三句「洗ふゆゑに」は、洗うので、の意で、字余りとなっている。
 四句「錦の島と」は、錦の島と、の意である。
 結句「言ふにやあるらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」と係り結びをなし、言うのであろうか、と結ぶ。

いそわ:入り組んだ磯辺
作者
西行
出典
山家集
前の歌
時雨初むる花園山に秋暮れて 錦の色をあらたむるかな
次の歌
聞きもせず束稲山の桜花 吉野の外にかかるべしとは