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茅花抜く北野の茅原あせゆけば
心すみれぞ生ひ変はりける

歌の意味
茅花を抜いた北野の茅原が荒れてゆくと、心も澄むようなすみれが、代わりに生えてきたことだ。
鑑賞
雑歌 1444

詞書なし
 人々が茅花を抜き取った北野の茅原が荒れてゆくと、その後には、心も澄むようなすみれが代わりに生えてきた、と詠む。
 茅花は春に摘んで食べる若い穂で、それを抜き尽くされた原が衰えた後に、すみれが生え変わるという、自然の移り変わりを描いている。「すみれ」に「澄み」を響かせ、心の澄む思いを重ねていると見られる。

 初句「茅花抜く」は、茅花を抜き取る、の意である。
 二句「北野の茅原」は、都の北野の茅の生える原、の意である。
 三句「あせゆけば」は、荒れ衰えてゆくと、の意である。
 四句「心すみれぞ」の「すみれ」は、花の名に、心が「澄み」の意を響かせ、「ぞ」は強意の係助詞として連体形「ける」と係り結びをなす。
 結句「生ひ変はりける」は、代わりに生えてきたことだ、の意である。

つばな:茅の若い花穂
ちはら:茅の生い茂った原
作者
西行
出典
山家集
前の歌
奥になほ人見ぬ花の散らぬあれや 尋ねを入らん山ほととぎす
次の歌
花の折柏に包む信濃梨は 緑なれどもあかしの実と見ゆ