花の折柏に包む信濃梨は
緑なれどもあかしの実と見ゆ
- 歌の意味
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花の咲く季節に柏の葉に包んで贈られた信濃梨は、緑色ではあるけれども、心ざしの証の実と見えることだ。
- 鑑賞
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雑歌 1445
詞書「例ならぬ人の大事なりけるが、四月に梨の花の咲きたりけるを見て、梨の欲しき由を願ひけるに、もしやと人に尋ねければ、枯れたる柏に包みたる梨を、ただ一つ遣はして、これ許りなど申したりける」
重い病にかかっていた人が、四月に梨の花が咲いているのを見て、梨が食べたいと願ったので、もしやと人に尋ねたところ、枯れた柏の葉に包んだ梨をただ一つ贈ってきて、これだけですが、などと言ってきたので詠んだ一首である。花の季節に柏に包んで贈られた信濃梨は、まだ緑色であるけれども、贈り主の心ざしの証の実と見える、と詠む。
季節外れの梨をわざわざ探して贈ってくれた人への感謝を詠んでいる。「あかし」には、熟して赤い意と、証の意とが重ねられていると見られ、緑の梨であっても、心のこもった証の実として赤く見える、という機知を込めている。
初句「花の折」は、梨の花の咲く季節に、の意である。
二句「柏に包む」は、柏の葉に包んだ、の意である。
三句「信濃梨は」は、信濃産の梨は、の意で、字余りとなっている。
四句「緑なれども」は、緑色ではあるけれども、の意である。
結句「あかしの実と見ゆ」の「あかし」は、熟して「赤し」の意と、心ざしの「証」とを重ねていると見られ、字余りとなっている。
しなのなし:信濃国産の梨
あかし:「赤し」と「証」を重ねる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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茅花抜く北野の茅原あせゆけば 心すみれぞ生ひ変はりける
- 次の歌
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古りにけり君が御幸の鈴の奏は いかなる世にも絶えず聞こえて