古典和歌stream

山里の人もこずゑの松が末に
あはれに来ゐるほととぎすかな

歌の意味
山里の人も来ないのに、梢の松の先に、しみじみと来てとまっているほととぎすであることよ。
鑑賞
雑歌 1448

詞書「題しらず」
 山里には人も訪れて来ないのに、梢の松の先には、しみじみとほととぎすが来てとまっていることよ、と詠む。
 「こずゑ」に「来ず」と「梢」とを掛け、人の来ない寂しい山里に、ほととぎすだけが訪れてくれるという、自然との交わりを詠んでいる。人の訪れのなさを、ほととぎすの来訪によってかえって際立たせている。

 初句「山里の」は、山里の、の意である。
 二句「人もこずゑの」の「こずゑ」は、人が「来ず」と「梢」とを掛けた掛詞である。
 三句「松が末に」は、松の先に、の意である。
 四句「あはれに来ゐる」は、しみじみと来てとまる、の意である。
 結句「ほととぎすかな」の「かな」は詠嘆の終助詞である。

こずゑ:「来ず」と「梢」を掛ける
うれ:草木の枝の先
作者
西行
出典
山家集
前の歌
波の打つ音を鼓にまがふれば 入日の影のうちて揺らるる
次の歌
習へける心は我か時鳥 君待ち得たる宵の枕に