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尋ね入る人には見せじ山桜
我とを花に逢はんと思へば

歌の意味
山へ尋ね入ってくる人には見せまい、山桜を。自分ひとりで花に逢おうと思うのだから。
鑑賞
百首 1456

詞書は前の歌に続き「花十首」
 花十首の四首目である。山深く尋ね入ってくる人には山桜を見せまい、自分ひとりで花に逢いたいと思うから、と詠む。
 花を独り占めしたいという率直な心を、恋人に逢うように「花に逢ふ」と言い表したところに趣がある。前歌で人々が吉野へ入ったのを受け、ここでは山に入ってくる人を拒む心へと転じている。次歌ではその独占の心を自ら戒めることになり、配列上ひと続きの心の動きをなしている。

 初句「尋ね入る」は、花を求めて山深く入ってくる、の意で、前歌の「入りぬめり」を受けている。
 二句「人には見せじ」の「じ」は打消の意志で、人には見せまい、の意を表し、二句切れとなる。
 三句「山桜」は、山に咲く桜で、見せまいとする対象を示している。
 四句「我とを花に」の「我と」は自分ひとりで、の意、「を」は語調を強める間投助詞である。
 結句「逢はんと思へば」は、逢おうと思うので、の意で、倒置によって見せまいとする理由を述べている。

たづぬ:探し求める
作者
西行
出典
山家集
前の歌
人はみな吉野の山へ入りぬめり 都の花に我はとまらん
次の歌
山桜咲きぬと聞きて見にゆかん 人を争ふ心とどめて