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鳴かん声や散りぬる花の名残なる
やがて待たるる郭公かな

歌の意味
これから鳴くであろう声は、散ってしまった花の名残なのだろうか。花が散るとすぐに待たれる郭公であることよ。
鑑賞
百首 1463

詞書「郭公十首」
 郭公十首の一首目である。花が散るとすぐに郭公の声が待たれるのは、その声が散った花の名残だからだろうか、と詠む。
 春の花から夏の郭公へと季節の関心が移る心を、花の名残という形で結びつけている。花十首を閉じた前歌を受け、郭公十首の始まりに花の名残を置くことで、二つの題を一続きにつないでいる。

 初句「鳴かん声や」の「ん」は推量、「や」は係助詞で、これから鳴くであろう声は、の意である。字余りとなっている。
 二句「散りぬる花の」は、散ってしまった花の、の意で、前の花十首を受けている。
 三句「名残なる」は、初句の「や」を受けた結びの連体形で、名残なのだろうか、の意である。
 四句「やがて待たるる」の「やがて」は、すぐに、の意、「るる」は自発で、すぐに自然と待たれる、の意を表す。
 結句「郭公かな」の「かな」は詠嘆で、郭公であることよ、の意である。

なごり:物事が過ぎ去った後に残る気配や余韻
やがて:すぐに、そのまま
作者
西行
出典
山家集
前の歌
根に帰る花を送りて吉野山 夏の境に入りて出でぬる
次の歌
春暮れて声に花咲く郭公 尋ぬることも待つも変はらぬ