古典和歌stream

春暮れて声に花咲く郭公
尋ぬることも待つも変はらぬ

歌の意味
春が暮れて、今度は声に花が咲く郭公よ。尋ねてゆくことも待つことも、花の時と変わらない。
鑑賞
百首 1464

詞書は前の歌に続き「郭公十首」
 郭公十首の二首目である。春が終わると、郭公の声に花が咲くかのようで、その声を尋ね求めることも待つことも、花の時と少しも変わらない、と詠む。
 花を尋ね、花を待った春の心が、夏にはそのまま郭公の声に向けられるという、季節を越えて続く風雅の心を詠んでいる。前歌の、郭公の声を花の名残とする趣向をさらに進め、声そのものを花に見立てている。

 初句「春暮れて」は、春が終わって、の意で、花の季節が過ぎたことを示す。
 二句「声に花咲く」は、郭公の声に花が咲く、の意で、声の美しさを花にたとえた表現である。
 三句「郭公」は、夏を告げる鳥で、三句切れとなる。
 四句「尋ぬることも」は、声を尋ね求めることも、の意で、花を尋ねた春の行為と重ねられている。
 結句「待つも変はらぬ」の「ぬ」は打消の連体形による連体止めで、待つことも花と変わらないことだ、の意を表す。

たづぬ:探し求める
作者
西行
出典
山家集
前の歌
鳴かん声や散りぬる花の名残なる やがて待たるる郭公かな
次の歌
聞かで待つ人思ひ知れ郭公 聞きても人はなほぞ待つめる