夜の床をなき浮かさなん郭公
物思ふ袖を訪ひに来たらば
- 歌の意味
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夜の床を、鳴いて涙に浮かせるほどにしてほしい、郭公よ。物思いに沈む私の袖を訪ねて来るのならば。
- 鑑賞
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百首 1471
詞書は前の歌に続き「郭公十首」
郭公十首の九首目である。物思いに濡れる私の袖を訪ねて来るのなら、郭公よ、鳴いて夜の床が涙で浮くほどにしてほしい、と詠む。
郭公の声は昔から物思いを誘うものとされてきた。その声に誘われて流す涙で床が浮くほどになれ、という激しい誇張によって、物思いの深さが表されている。郭公十首の中では恋の趣をもつ一首で、後に続く恋十首を思わせる。
初句「夜の床を」は、夜寝る床を、の意で、字余りとなっている。
二句「なき浮かさなん」の「なき」は、郭公が「鳴き」と、自分が「泣き」とを掛けた掛詞である。「なん」は他への願望の終助詞で、鳴いて床を涙で浮かせてほしい、の意を表す。
三句「郭公」は呼びかけで、三句切れとなる。
四句「物思ふ袖を」は、物思いに沈み、涙に濡れる袖を、の意である。
結句「訪ひに来たらば」は、訪ねて来るのならば、の意で、倒置により願いの条件を示している。
なく:郭公が鳴く意と、人が泣く意を掛ける
ものおもふ:思い悩む
とふ:訪ねる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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郭公深き山辺に住むかひは 梢に続く声を聞くかな
- 次の歌
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郭公月の傾く山の端に 出でつる声の帰り入るかな