月を見てあかしの浦を出づる舟は
波のよるとや思はざるらん
- 歌の意味
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月を眺めながら明石の浦を漕ぎ出していく舟は、あまりに明るいので、波の寄せる夜だとは思わないのだろうか。
- 鑑賞
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百首 1475
詞書は前の歌に続き「月十首」
月十首の三首目である。明石の浦の明るい月を見ながら漕ぎ出していく舟は、今が夜だとは思わないのではないか、と詠む。
月の明るさを、夜であることさえ忘れさせるほどだと誇張した一首である。地名「明石」に「明かし」を、「波の寄る」に「夜」を掛けるなど、言葉の技巧を重ねて月の明るさを表している。前々歌の第千四百七十三首が明石を引き合いに出したのに対し、本歌は明石の月そのものを詠んでいる。
初句「月を見て」は、月を眺めながら、の意である。
二句「あかしの浦を」の「あかし」は、地名の「明石」と、明るい意の「明かし」とを掛けた掛詞である。
三句「出づる舟は」は、漕ぎ出していく舟は、の意で、字余りとなっている。
四句「波のよるとや」の「よる」は、波が「寄る」と「夜」とを掛けた掛詞である。「や」は係助詞で、結句の「らん」と係り結びをなす。
結句「思はざるらん」の「らん」は現在推量の連体形で、思わないのだろうか、の意を表す。
あかし:地名の明石と、明るい意の明かしを掛ける
よる:波が寄る意と、夜の意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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池水に底清く澄む月影は 波に氷を敷き渡すかな
- 次の歌
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離れたる白良の浜の沖の石を 砕かで洗ふ月の白波