思ひ解けば千里の影も数ならず
至らぬ隈も月にあらせじ
- 歌の意味
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思い悟ってみれば、千里を照らす月の光も物の数ではない。光の届かない隈も、月にはあらせまい。
- 鑑賞
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百首 1477
詞書は前の歌に続き「月十首」
月十首の五首目である。思い悟ってみれば、千里の遠くまで照らす月光もたいしたものではない、心の中に光の届かない隈を残すまい、と詠む。
外界を照らす月の光よりも、心の内を隈なく照らすことの方が大切だとする、仏教的な悟りの心が込められた一首と見られる。前の歌々が月の明るさを景として詠んできたのに対し、本歌は月を心の問題として捉え直している。
初句「思ひ解けば」は、思い悟ってみれば、の意で、字余りとなっている。
二句「千里の影も」は、千里の遠くまで照らす月の光も、の意である。
三句「数ならず」は、物の数ではない、たいしたものではない、の意で、三句切れとなる。
四句「至らぬ隈も」は、光の行き届かない暗い所も、の意である。
結句「月にあらせじ」の「じ」は打消の意志で、月の光の及ばない所としてあらせまい、の意を表す。
おもひとく:思い悟る、理解する
くま:光の届かない暗い所
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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離れたる白良の浜の沖の石を 砕かで洗ふ月の白波
- 次の歌
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おほかたの秋をば月に包ませて 吹きほころばす風の音かな