思ひ知るを世には隈なき影ならず
我が目に曇る月の光は
- 歌の意味
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思い知ることだ。世間では隈なく照っている光であっても、私にとってはそうではない。涙に曇る私の目に映る月の光は。
- 鑑賞
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百首 1480
詞書は前の歌に続き「月十首」
月十首の八首目である。世の人には隈なく照る月の光も、自分の目には曇って見えるので、自分にとっては隈なき光ではないと思い知る、と詠む。
同じ月でも、見る人の心によって明るくも曇っても見えるという思いを、自分の目の曇りとして詠んでいる。目が曇るのは涙のためと解され、物思いの深さがうかがえる。第千四百七十七首が心に隈を残すまいと詠んだのに対し、本歌はなお曇る自らの目を見つめている。
初句「思ひ知るを」は、思い知ることだ、の意で、字余りとなっている。
二句「世には隈なき」は、世間では隈なく照る、の意である。
三句「影ならず」は、月の光ではない、の意で、自分にとってはそうではないことを示し、三句切れとなる。
四句「我が目に曇る」は、私の目には曇って見える、の意で、二句の「世には」と対比されている。
結句「月の光は」は、倒置によって、何が隈なき光でないのかを示している。
くまなし:隅々まで明るい、陰りがない
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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何事かこの世に経たる思ひ出を 問へかし人に月を教へん
- 次の歌
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憂き世とも思ひ通さじ押し返し 月の澄みける久方の空