あはれ知りて誰か分け来ん山里の
雪降り埋む庭の夕暮
- 歌の意味
-
もののあわれを解して、誰が雪を分けて訪ねて来るだろうか。山里の、雪が降り埋めている庭の夕暮れに。
- 鑑賞
-
百首 1485
詞書は前の歌に続き「雪十首」
雪十首の三首目である。山里の庭が雪に降り埋もれる夕暮れに、その趣を解して雪を分けて訪ねて来る人などいるだろうか、と詠む。
雪に閉ざされた山里の寂しさと、訪れる人もない夕暮れの静けさを詠んだ一首である。人の訪れを待つ心がほのかに感じられ、第千四百五十九首で花の雪に跡をつけまいとした心とは逆に、ここでは雪を分けて来る人を思っている。
初句「あはれ知りて」は、もののあわれを解して、の意で、字余りとなっている。
二句「誰か分け来ん」の「か」は係助詞で、「ん」の連体形で結ぶ係り結びとなり、誰が雪を分けて来るだろうか、いや誰も来ない、という反語を表す。二句切れとなる。
三句「山里の」は、山中の人里の、の意である。
四句「雪降り埋む」は、雪が降り埋めている、の意である。
結句「庭の夕暮」は、体言止めで、寂しい山里の夕暮れの情景を余韻として残している。
あはれ:しみじみとした趣
わく:押し分けて進む
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
急がずは雪に我が身や留められて 山辺の里に寺を待たまし
- 次の歌
-
湊川苫に雪吹く友舟は むやひつつこそ夜を明かしけれ