大原は芹生を雪の道に開けて
四方には人も通はざりけり
- 歌の意味
-
大原では、芹生の里へ通じる道だけを雪の中の道として開けておいて、ほかの四方には人も通わないことだ。
- 鑑賞
-
百首 1489
詞書は前の歌に続き「雪十首」
雪十首の七首目である。雪に閉ざされた大原では、芹生へ通じる道だけが雪の中に開けられていて、ほかの方角へは人も通わない、と詠む。
大原と芹生はともに洛北の山里で、隠棲の地として知られた。雪の中にただ一筋の道だけが通っている山里の孤立したさまを、具体的な地名によって描いている。前歌の、人に顧みられない山里の寂しさを受け継いでいる。
初句「大原は」は、洛北の山里の大原では、の意である。
二句「芹生を雪の」の「芹生」は、大原の近くの山里の名で、芹生への道を、の意である。
三句「道に開けて」は、雪の中の道として開けておいて、の意で、字余りとなっている。
四句「四方には人も」は、ほかの四方には人も、の意である。
結句「通はざりけり」の「けり」は詠嘆で、通わないことだ、の意を表す。
よも:四方、あちらこちら
かよふ:行き来する
- 作者
-
西行
- 出典
-
山家集
- 前の歌
-
たまり居る梢の雪の春ならば 山里いかにもてなされまし
- 次の歌
-
晴れやらで二村山に立つ雲は 比良の吹雪の名残なりけり