紅のよそなる色は知られねば
筆にこそまづ染めはじめつれ
- 歌の意味
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紅のように表に出るはずの思いの色は、よそからは知られないので、まずは筆によってこそ、恋文に思いを染めはじめたのだ。
- 鑑賞
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百首 1494
詞書は前の歌に続き「恋十首」
恋十首の二首目である。紅の色のように燃える恋の思いも、外からは人に知られないので、まず筆によって手紙に思いを染めはじめたのだ、と詠む。
秘めた恋心を、紅の色と、筆で文を書くことを「染める」と言い表した一首である。恋の始まりにあたり、思いを初めて言葉にして伝えようとする心が詠まれている。前歌が昔の恋人を詠んだのに対し、本歌は恋の始まりを詠み、恋の時間の前後を並べている。
初句「紅の」は、鮮やかな紅の色の、の意で、燃える恋心をたとえている。
二句「よそなる色は」の「よそ」は他人、外の意で、外から見える色は、の意である。
三句「知られねば」の「ね」は打消の已然形で、知られないので、の意である。
四句「筆にこそまづ」の「こそ」は係助詞で、結句の「つれ」と係り結びをなす。
結句「染めはじめつれ」は、四句の「こそ」を受けて已然形「つれ」で結ぶ係り結びとなり、染めはじめたのだ、の意を強めている。「染む」は「紅」「色」の縁語である。
よそ:他人、外
そむ:色を染める、ここでは文に思いを書きつける
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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古き妹が園に植ゑたる唐なづな 誰なづさへと生ほし立つらん
- 次の歌
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さまざまのなげきを身には積み置きて いつしめるべきおもひなるらん