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疎くなる人は心の変はるとも
我とは人に心置かれじ

歌の意味
疎遠になってゆく人は心が変わってしまうとしても、自分の方からは、人に心を隔てられるようなことはするまい。
鑑賞
百首 1499

詞書は前の歌に続き「恋十首」
 恋十首の七首目である。疎遠になっていく恋人の心が変わってしまうとしても、自分の方からは相手に心の隔てを置かれるようなことはするまい、と詠む。
 相手の心変わりを受け入れながらも、自分だけは変わらずにいようとする、一途な恋の心を詠んでいる。「心」の語を二度用い、変わる人の心と変わらない自分の心とを対比している。

 初句「疎くなる」は、疎遠になっていく、の意である。
 二句「人は心の」は、相手は心が、の意である。
 三句「変はるとも」の「とも」は逆接の仮定で、変わるとしても、の意である。
 四句「我とは人に」の「我とは」は、自分の方からは、の意である。
 結句「心置かれじ」の「心置く」は、心に隔てを置く意で、「じ」は打消の意志を表し、心を隔てられるようなことはするまい、の意である。

うとし:疎遠である、親しくない
こころおく:心に隔てを置く、遠慮する
作者
西行
出典
山家集
前の歌
思ひ出でよ三津の浜まつよそだつと 志賀の浦波立たん袂を
次の歌
月を憂しと眺めながらも思ふかな その夜ばかりの影とやは見し