月を憂しと眺めながらも思ふかな
その夜ばかりの影とやは見し
- 歌の意味
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月をつらいものと思って眺めながらも、思うことだ。あの夜だけの光だと見ていただろうか、いや、そうではなかった。
- 鑑賞
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百首 1500
詞書は前の歌に続き「恋十首」
恋十首の八首目である。今は月をつらいものとして眺めながらも、恋人と逢ったあの夜には、その月の光があの夜かぎりのものになるとは思っていなかった、と思い返す。
逢瀬の夜に眺めた月が、今は別れのつらさを思い出させるものとなったことを詠んだ一首である。同じ月を見ながら、過去の喜びと今の憂いとが対比されている。月十首の後に置かれ、月の歌を恋の思いへと転じている。
初句「月を憂しと」は、月をつらいものと、の意で、字余りとなっている。
二句「眺めながらも」は、物思いに沈んで眺めながらも、の意である。
三句「思ふかな」の「かな」は詠嘆で、思うことだ、の意を表し、三句切れとなる。
四句「その夜ばかりの」は、恋人と逢ったあの夜だけの、の意である。
結句「影とやは見し」の「やは」は反語で、光だと見ていただろうか、いやそうではない、の意を表す。
うし:つらい、憂鬱だ
かげ:月の光
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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疎くなる人は心の変はるとも 我とは人に心置かれじ
- 次の歌
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我はただ返さでを着ん小夜衣 着て寝しことを思ひ出でつつ