いざさらば盛り思ふもほどもあらじ
藐姑射が峰の花にむつれじ
- 歌の意味
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さあ、それならば、栄える盛りを思うのも、もう長くはないだろう。藐姑射の峰の花には、なれ親しむまい。
- 鑑賞
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百首 1503
詞書「述懐十首」
述懐十首の一首目である。人の世の盛りを思うのもそう長くはないのだから、もう藐姑射の峰の花にはなれ親しむまい、と心を決める。
藐姑射の山は、仙人の住む山の意から上皇の御所を指す語として用いられた。上皇の御所の華やかな花に親しむことをやめようとする言葉には、宮廷での栄えから身を引く心が詠まれていると見られる。花の題から始まった百首の中で、述懐の冒頭にふたたび花を置き、その花から離れようとする心を詠んでいる。
初句「いざさらば」は、さあそれならば、の意で、決意を示す語である。
二句「盛り思ふも」は、栄える盛りを思うのも、の意である。
三句「ほどもあらじ」の「じ」は打消の推量で、長くはないだろう、の意を表し、字余りで三句切れとなる。
四句「藐姑射が峰の」の「藐姑射」は、仙人の住む山の名から転じて、上皇の御所を指す語である。
結句「花にむつれじ」の「むつる」は、なれ親しむ意で、「じ」は打消の意志を表し、花にはなれ親しむまい、の意である。
はこや:仙人の住む山の名で、上皇の御所を指す
むつる:なれ親しむ、まとわりつく
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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川風に千鳥鳴きけん冬の夜は 我が思ひにてありけるものを
- 次の歌
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山深く心はかねて送りてき 身こそ憂き世を出でやらねども