古典和歌stream

塵つかでゆがめる道を直くなして
行く行く人を世に仕へばや

歌の意味
塵に汚れることなく、ゆがんでいる道をまっすぐに直して、道を行く人のために、世に仕えたいものだ。
鑑賞
百首 1509

詞書は前の歌に続き「述懐十首」
 述懐十首の七首目である。塵に汚れることなく、ゆがんだ道をまっすぐに直して、行き交う人のために世に仕えたい、と詠む。
 ゆがんだ道を正すことに、世の乱れを正したいという願いが込められていると見られる。俗世の塵に染まらずに人々のために尽くしたいという、出家者としての志を詠んだ一首である。

 初句「塵つかで」の「で」は打消の接続助詞で、塵に汚れないで、の意である。
 二句「ゆがめる道を」は、ゆがんでいる道を、の意である。
 三句「直くなして」は、まっすぐにして、の意で、字余りとなっている。
 四句「行く行く人を」は、道を行く人々を、の意である。
 結句「世に仕へばや」の「ばや」は自己の願望で、世に仕えたいものだ、の意を表す。

なほし:まっすぐである、正しい
ちり:塵、俗世の汚れ
作者
西行
出典
山家集
前の歌
捨てて後はまぎれし方は覚えぬを 心のみをば世にあらせける
次の歌
ひとしまんと思ひも見えぬ世にあれば 末にさこそは大幣の空