深き山は苔むす岩を畳み上げて
古りにし方を納めたるかな
- 歌の意味
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深い山は、苔むした岩を畳み上げて、過ぎ去った遠い昔を納めているのだなあ。
- 鑑賞
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百首 1511
詞書は前の歌に続き「述懐十首」
述懐十首の九首目である。深い山は、苔むした岩を幾重にも積み上げて、その中に遠い昔を納めているのだ、と詠む。
長い年月を経て苔むした岩の重なりに、山が過ぎた時を蔵しているのを感じ取った一首である。山の悠久の時間に、人の世の短さを思う述懐の心が重ねられている。次歌と「古りにし」「古りにける」の語を共有している。
初句「深き山は」は、奥深い山は、の意で、字余りとなっている。
二句「苔むす岩を」は、長い年月を経て苔の生えた岩を、の意である。
三句「畳み上げて」は、幾重にも積み重ねて、の意で、字余りとなっている。
四句「古りにし方を」の「にし」は完了と過去で、古びて過ぎ去った昔を、の意である。次歌の初句「古りにける」と響き合っている。
結句「納めたるかな」の「かな」は詠嘆で、納めていることだなあ、の意である。
こけむす:苔が生える、長い年月を経る
ふる:古くなる、年を経る
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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ひとしまんと思ひも見えぬ世にあれば 末にさこそは大幣の空
- 次の歌
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古りにける心こそなほあはれなれ 及ばぬ身にも世を思はする