古りにける心こそなほあはれなれ
及ばぬ身にも世を思はする
- 歌の意味
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年老いてしまった心こそ、やはりしみじみと哀れである。力の及ばないこの身にも、世の中のことを思わせるのだから。
- 鑑賞
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百首 1512
詞書は前の歌に続き「述懐十首」
述懐十首の結びの一首である。年老いた心はやはり哀れなものだ、もはや世のために何をする力もないこの身にも、なお世の中のことを思わせるのだから、と詠む。
世を捨て、力も衰えた身でありながら、なお世を案じずにはいられない心を見つめた一首である。前歌の山が古い時を納めていたのに対し、本歌では年を経た自らの心を詠み、述懐十首を自己への思いで閉じている。
初句「古りにける」は、年老いてしまった、の意で、前歌の「古りにし」を受けている。
二句「心こそなほ」の「こそ」は係助詞で、三句の「なれ」と係り結びをなす。
三句「あはれなれ」は、二句の「こそ」を受けて已然形で結ぶ係り結びとなり、しみじみと哀れである、の意を表し、三句切れとなる。
四句「及ばぬ身にも」は、力の及ばない身にも、の意である。
結句「世を思はする」の「する」は使役「す」の連体形による連体止めで、世の中のことを思わせることだ、の意を表す。
あはれ:しみじみと心を動かされるさま
およぶ:力が届く
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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深き山は苔むす岩を畳み上げて 古りにし方を納めたるかな
- 次の歌
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はかなしな千代思ひし昔をも 夢のうちにて過ぎにける世は