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はかなしな千代思ひし昔をも
夢のうちにて過ぎにける世は

歌の意味
はかないことだ。千年も続くと思っていた昔をも、夢のうちに過ごしてしまったこの世は。
鑑賞
百首 1513

詞書「無常十首」
 無常十首の一首目である。千年も続くと思っていた昔の日々さえ、夢のように過ぎ去ってしまったこの世は、なんとはかないことか、と詠む。
 永遠に続くと思っていた時が夢のように過ぎていたと気づく、無常の嘆きを詠んだ一首で、無常十首の冒頭にふさわしい感慨が示されている。なお読み仮名の行には二句に余分な文字が混じるが、本文の表記に従う。

 初句「はかなしな」の「な」は詠嘆の終助詞で、はかないことだ、の意を表し、初句切れとなる。
 二句「千代思ひし」は、千年も続くと思った、の意で、字余りとなっている。
 三句「昔をも」は、その昔をも、の意である。
 四句「夢のうちにて」は、夢の中のようにして、の意である。
 結句「過ぎにける世は」の「にける」は完了と過去で、過ぎてしまった世は、の意であり、倒置によって何がはかないのかを示している。

ちよ:千年、きわめて長い年月
作者
西行
出典
山家集
前の歌
古りにける心こそなほあはれなれ 及ばぬ身にも世を思はする
次の歌
ささがにの糸に貫く露の玉を 懸けて飾れる世にこそありけれ