さらぬことも跡形なきをわきてなど
露をあだにも言ひも置きけん
- 歌の意味
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露でないものも、みな跡形もなく消えてしまうのに、とりわけどうして、露ばかりをはかないものと言い置いたのだろうか。
- 鑑賞
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百首 1516
詞書は前の歌に続き「無常十首」
無常十首の四首目である。露でないものも跡形なく消えてしまうのに、どうして昔の人は特に露だけをはかないものと言い置いたのだろうか、と詠む。
露ははかないものの代表とされてきたが、この世のすべては露と同じく消えてゆくのだ、という無常観を、古来の言い方への問いかけの形で表している。前歌が夢と現の区別を失ったように、ここでは露とそれ以外のものとの区別をも失わせている。
初句「さらぬことも」の「さらぬ」は、そうでない、の意で、露でないものも、の意である。字余りとなっている。
二句「跡形なきを」の「を」は逆接で、跡形もなく消えるのに、の意である。
三句「わきてなど」の「わきて」は、とりわけ、「など」は、どうして、の意である。
四句「露をあだにも」の「あだ」は、はかない、もろい、の意である。
結句「言ひも置きけん」の「けん」は過去推量で、言い置いたのだろうか、の意を表す。「置く」は「露」の縁語である。
あだ:はかないこと、もろいこと
あとかた:痕跡
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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現をも現とさらに思へねば 夢をも夢と何か思はん
- 次の歌
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灯火のかかげ力もなくなりて とまる光を待つ我が身かな