引き引きに我が得てつると思ひける
人の心やせはまくの絹
- 歌の意味
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めいめいに引き合って、自分こそが手に入れたと思っていた人の心は、せはまくの絹のようなものであろうか。
- 鑑賞
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百首 1534
詞書は前の歌に続き「釈教十首、訖栗枳王の夢のうちに、三首」
訖栗枳王の夢を詠んだ三首のうちの二首目である。めいめいが引き合い、自分こそが手に入れたと思っていた人々の心は、せはまくの絹のようなものだろうか、と詠む。
訖栗枳王の夢には、人々が一枚の布を引き合うという夢があり、末の世に仏法が多くの派に分かれて争うことのたとえとされる。本歌はその夢にちなみ、それぞれが自分こそ教えを得たと思う人々の心を詠んだものと見られる。結句の「せはまく」は語義が定めがたく、本文のまま示す。
初句「引き引きに」は、めいめいに引き合って、の意である。
二句「我が得てつると」の「てつる」は完了で、自分が手に入れたと、の意である。
三句「思ひける」は、思っていた、の意である。
四句「人の心や」の「や」は疑問で、人の心は、の意である。
結句「せはまくの絹」は語義を定めがたく、人々が引き合った布を指すと見られる。体言止めとなっている。
ひきひきに:めいめいに引き合って
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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惑ひてし心を誰も忘れつつ ひかへらるなることの憂きかな
- 次の歌
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末の世の人の心も磨くべき 玉をも塵に混ぜてけるかな