野辺の色も春の匂ひもおしなべて
心染めける悟りにぞなる
- 歌の意味
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秋の野辺の色も春の花の匂いも、すべて、心を深く染めたものが、そのまま悟りとなるのだ。
- 鑑賞
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百首 1542
詞書「又一首この心を。楊梅の春の匂ひ遍吉の功徳なり、紫蘭の秋の色は普賢菩薩の真相なり」
釈教十首の結びに、又一首として加えられた一首である。詞書は、楊梅の春の香りは普賢菩薩の功徳であり、紫蘭の秋の色は普賢菩薩の真の姿であるという句を引き、その心を詠んだものとしている。
春の花の香りも秋の野の色も、心を染めた自然の美しさはすべてそのまま悟りに通じる、と詠む。遍吉は普賢菩薩の異名である。花や月を愛し続けた作者が、その美への愛着をそのまま悟りへの道とする心を示した一首で、四季の題から始まった百首の釈教の結びにふさわしい内容となっている。
初句「野辺の色も」は、秋の野辺の色も、の意で、詞書の「紫蘭の秋の色」に対応する。字余りとなっている。
二句「春の匂ひも」は、春の花の香りも、の意で、詞書の「楊梅の春の匂ひ」に対応する。
三句「おしなべて」は、すべて、一様に、の意である。
四句「心染めける」は、心を深く染めた、の意である。
結句「悟りにぞなる」の「ぞ」は係助詞で、「なる」の連体形で結ぶ係り結びとなり、悟りとなるのだ、の意を強めている。
へんきち:普賢菩薩の異名
おしなぶ:すべて一様にする
そむ:心に深く染みる
- 作者
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西行
- 出典
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山家集
- 前の歌
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さまざまに掌なる誓ひをば 南無の言葉にふさねたるかな
- 次の歌
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沢の面に更けたる鶴の一声に 驚かされて千鳥鳴くなり