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沢の面に更けたる鶴の一声に
驚かされて千鳥鳴くなり

歌の意味
沢の水面で、夜更けに鳴いた鶴の一声に目を覚まされて、千鳥が鳴いているようだ。
鑑賞
百首 1543

詞書「雑十首」
 雑十首の一首目である。夜更けの沢で鶴が一声鳴くと、それに目を覚まされて千鳥が鳴き出すのが聞こえる、と詠む。
 夜の水辺で鳥の声が呼び交わされていくさまを、聴覚によってとらえた一首である。静まり返った夜更けに、鶴の一声から千鳥の声へと音が連なり、水辺の夜の深さが表されている。恋十首の第千五百二首でも冬の夜の千鳥が詠まれている。

 初句「沢の面に」は、沢の水面で、の意で、字余りとなっている。
 二句「更けたる鶴の」の「更けたる」は、夜が更けた意で、夜更けに鳴く鶴の、の意に解する。
 三句「一声に」は、ただ一声に、の意である。
 四句「驚かされて」の「驚く」は目を覚ます意で、「され」は受身で、目を覚まされて、の意である。
 結句「千鳥鳴くなり」の「なり」は音によって判断する推定で、千鳥が鳴いているようだ、の意を表す。

たづ:鶴
おどろく:目を覚ます
作者
西行
出典
山家集
前の歌
野辺の色も春の匂ひもおしなべて 心染めける悟りにぞなる
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友になりて同じ湊を出で舟の 行方も知らず漕ぎ別れぬる