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山賤の住みぬと見ゆるわたりかな
冬にあせゆく静原の里

歌の意味
山に暮らす人々だけが住んでいると見えるあたりであることよ。冬になって寂れていく静原の里は。
鑑賞
百首 1548

詞書は前の歌に続き「雑十首」
 雑十首の六首目である。冬になって寂れていく静原の里は、山に暮らす人々だけが住んでいるように見える、と詠む。
 静原は洛北の山里で、冬になるとさらに人影が少なくなり、山人だけが暮らす寂しい地に見えることを詠んでいる。雪十首の第千四百八十九首の大原や芹生と同じく、洛北の山里を具体的な地名で描いた一首である。

 初句「山賤の」は、山に住み、木こりなどをして暮らす人の、の意である。
 二句「住みぬと見ゆる」の「ぬ」は完了で、住んでいると見える、の意である。
 三句「わたりかな」の「わたり」はあたりの意で、「かな」は詠嘆を表し、三句切れとなる。
 四句「冬にあせゆく」の「あす」は、衰える、寂れる意で、冬になって寂れていく、の意である。
 結句「静原の里」は、洛北の山里である静原の里の意で、体言止めとなっており、倒置によってどのあたりかを示している。

やまがつ:山に住み、木こりなどをして暮らす人
わたり:あたり
あす:衰える、寂れる
作者
西行
出典
山家集
前の歌
さまざまのあはれありつる山里を 人に伝へて秋の暮れぬる
次の歌
山里の心の夢にまどひをれば 吹きしらまかす風の音かな