梅の花匂ひを道のしるべにて
主も知らぬ宿に来にけり
- 歌の意味
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梅の花の香りを道案内として、主人が誰とも知らない家に来てしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 10
梅の香りに誘われるまま歩いて行くと、見知らぬ人の家にたどり着いていたという歌である。香に導かれる自分の姿に、梅への深い愛着がうかがえる。
作者は藤原公行とされる。前歌が香を運ぶ風を願ったのに対し、ここでは香を道しるべにして自ら訪ねて行く。
初句「梅の花」は、前歌の三句と同じ語で、梅の歌が続く。
二句「匂ひを道の」の「匂ひ」は、ここでは香りの意である。前歌の「香」を受けている。
三句「しるべにて」は、道案内としての意である。目に見えない香を道案内とする点に趣向がある。
四句「主も知らぬ」は、その家の主人が誰かもわからないの意で、香にひかれて無心に来たことを示す。
結句「宿に来にけり」は、「けり」による気づきの詠嘆で、気がつけば来ていたという驚きを表す。
しるべ:道案内。手引き
やど:家。住まい
あるじ:その家の主人
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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吹き来れば香をなつかしみ梅の花 散らさぬほどの春風もがな
- 次の歌
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取りつなぐ人もなき野の春駒は 霞にのみやたなびかるらむ