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深山木のその梢とも見えざりし
桜は花にあらはれにけり

歌の意味
深山の木々の中で、それと梢も見分けられなかった桜は、花が咲いたことでその姿が現れたことだ。
鑑賞
巻第一 春歌 17

 ほかの木々にまぎれて桜とも気づかなかった木が、花を咲かせて初めて桜であると明らかになったという歌である。花の時期にこそ本性が現れるという発見が、平明な言葉で詠まれている。
 源頼政の歌としてよく知られる一首である。ここから桜の歌が続いていく。

 初句「深山木の」は、山奥の木々で、桜もその中にまぎれている。
 二句「その梢とも」は、それが桜の梢だともの意で、他の木と区別がつかないことを示す。
 三句「見えざりし」は、見分けられなかったという過去の状態で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
 四句「桜は花に」は、花が咲くことによっての意で、ここで初めて桜が主語として示される。
 結句「あらはれにけり」は、正体が明らかになったことへの気づきを「けり」で表す。

みやまぎ:山奥に生えている木
こずゑ:木の枝の先
作者
源頼政
出典
詞花和歌集
前の歌
古里の御垣の柳はるばると 誰が染めかけし浅緑ぞも
次の歌
紅の薄花桜匂はずは みな白雲と見てや過ぎまし