- 歌の意味
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紅の薄花桜が色美しく照り映えていなかったら、すべてを白雲と見て通り過ぎてしまっただろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 18
山にかかる白雲と見まがう桜の中で、うっすらと紅を帯びた薄花桜の色があったからこそ、花だと気づいたという歌である。白と紅のかすかな色の違いに目を留めた繊細な感覚が見どころである。
作者は康資王母とされる。次歌の藤原師実の歌、さらにその返しと、三首で贈答をなしている。
初句「紅の」は、紅色ので、二句の「薄花桜」の色を示す。
二句「薄花桜」は、薄紅色の花をつける桜である。次歌の四句にも同じ語が詠まれ、贈答の中心となる語である。
三句「匂はずは」の「匂ふ」は、色が美しく映える意である。「ずは」は、もし〜でなかったらの仮定を表す。
四句「みな白雲と」は、山の桜を白雲に見立てる伝統的な表現を踏まえる。次歌の初句「白雲は」がこれを受ける。
結句「見てや過ぎまし」は、係助詞「や」と反実仮想の助動詞「まし」で結ぶ係り結びで、通り過ぎてしまっただろうかと想像している。
うすはなざくら:薄紅色の花をつける桜
にほふ:色が美しく照り映える
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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深山木のその梢とも見えざりし 桜は花にあらはれにけり
- 次の歌
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白雲は立ち隔つれど紅の 薄花桜心にぞ染む