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なかなかに散るを見じとや思ふらむ
花の盛りに帰る雁がね

歌の意味
なまじ見るとかえってつらいので、花が散るのを見まいと思っているのだろうか。花の盛りに帰っていく雁よ。
鑑賞
巻第一 春歌 34

 花盛りの時に北へ帰っていく雁を、散る花を見るつらさを避けるためだろうかと思いやった歌である。前歌が雁の故郷の花の美しさを推し量ったのに対し、こちらは散る花を見たくない心を雁に重ねている。
 作者は源忠季とされる。

 初句「なかなかに」は、なまじっか、かえっての意で、見ればかえってつらいという心を表す。
 二句「散るを見じとや」は、散るのを見るまいとの意で、「じ」は打消の意志、「や」は疑問を表す。
 三句「思ふらむ」は、二句の「や」を受けて推量の「らむ」の連体形で結ぶ係り結びである。ここで句切れとなる。
 四句「花の盛りに」は、花の最も美しい時期にの意で、前歌の「花の匂ひ」を受ける。
 結句「帰る雁がね」は、前歌の結句「帰る雁かな」と対応し、帰雁の歌二首を結んでいる。

かりがね:雁。また雁の鳴き声
出典
詞花和歌集
前の歌
古里の花の匂ひやまさるらむ 静心なく帰る雁かな
次の歌
桜花散らさで千代も見てしがな 飽かぬ心はさてもありやと