古典和歌stream

掃く人もなき古里の庭の面は
花散りてこそ見るべかりけれ

歌の意味
掃き清める人もいない古い家の庭の地面は、花が散り敷いてからこそ見るべきものであったのだ。
鑑賞
巻第一 春歌 38

 掃除をする人もいなくなった古い家の荒れた庭も、花が散り敷いた時にこそ見る価値があると詠んだ歌である。荒廃した庭を花びらが美しく覆う様子に、さびしさと美しさの交錯がある。

 初句「掃く人も」は、掃除をする人もの意で、前歌の「払はねば」を受けるように、掃かれない庭が続く。
 二句「なき古里の」は、人の住まなくなった古い家の意である。
 三句「庭の面は」は、庭の地面である。字余りとなっている。
 四句「花散りてこそ」は、花が散ってからこその意で、係助詞「こそ」で強調する。
 結句「見るべかりけれ」は、四句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びである。気づきの「けり」がこもる。

ふるさと:古くなじんだ家。荒れた旧宅
おも:表面
作者
源俊頼
出典
詞花和歌集
前の歌
桜花散り敷く庭を払はねば 消えせぬ雪となりにけるかな
次の歌
桜咲く木の下水は浅けれど 散り敷く花の淵とこそなれ