- 歌の意味
- 八重に咲いた甲斐もないことだ。山吹が散ってしまえば、一重さえも残らないだろうと思うと。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 46
八重に咲き誇る山吹も、散ってしまえば一重すら残らないのだから、八重に咲いた甲斐がないと嘆いた歌である。前歌が八重の華やかさを称えたのに対し、散ってしまえば同じという無常の思いで応じている。
初句「八重咲ける」は、前歌の四句「八重重なれる」を受けている。
二句「かひこそなけれ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「なけれ」で結ぶ係り結びである。ここで句切れとなる。
三句「山吹の」は、前歌の結句と同じ花で、山吹の歌二首が並ぶ。
四句「散らば一重も」は、散ったならば一重もの意で、前歌の初句「一重だに」と対応する。
結句「あらじと思へば」は、「じ」が打消推量で、理由を後に述べる倒置の形である。
かひ:効果。甲斐
- 作者
- よみ人しらず
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 一重だに飽かぬ匂ひをいとどしく 八重重なれる山吹の花
- 次の歌
- 来ぬ人をまちかね山の呼子鳥 同じ心にあはれとぞ聞く