昔にもあらぬ我が身にほととぎす
待つ心こそ変はらざりけれ
- 歌の意味
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昔のようではなくなってしまった我が身であるのに、ほととぎすを待つ心だけは変わらないことだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 55
境遇や容姿が昔とはすっかり変わってしまった我が身と、それでも変わらないほととぎすを待つ心とを対比した歌である。変わりゆく身への嘆きと、季節を待つ心の若々しさが同居している。
本巻はここからほととぎすの歌群に入る。第五十三首の「変はらねど」に続いて「変はる」「変はらぬ」の対比がくり返され、次歌の第五十六首とは「待つ」「我が身」の語を共有している。
初句「昔にも」は、過去の自分との比較を導く。
二句「あらぬ我が身に」は、昔の自分ではなくなった身をいう。格助詞「に」は逆接的に結句へつながる。
三句「ほととぎす」は、初夏に初音を待たれる鳥で、ここからほととぎすの歌が続く。
四句「待つ心こそ」の係助詞「こそ」は強調で、結句の「けれ」と係り結びをなす。
結句「変はらざりけれ」は、「けり」の已然形で「こそ」を受け、変わらないことへの気づきを詠嘆している。
ほととぎす:初夏を告げる鳥。その初音を待つのが和歌の型
- 作者
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周防内侍
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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榊とる夏の山路や遠からむ ゆふかけてのみ祭る神かな
- 次の歌
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ほととぎす鳴く音ならでは世の中に 待つこともなき我が身なりけり