夜もすがらたたく水鶏は天の戸を
開けてのちこそ音せざりけれ
- 歌の意味
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一晩中、戸を叩くように鳴いていた水鶏は、天の戸が開いて夜が明けた後には、音を立てなくなったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 64
水鶏の鳴き声を戸を叩く音に見立てる伝統的な趣向を用い、夜が明けて天の戸が開いたら、もう叩く必要がないので鳴きやんだと興じた機知の歌である。
前歌の第六十三首の菖蒲に続き、夏の夜の景物として水鶏が置かれている。次歌からは五月雨の歌が続く。
初句「夜もすがら」は、一晩中の意で、夜通し続く声を示す。
二句「たたく水鶏は」は、水鶏の声を戸を叩く音と見る見立てである。
三句「天の戸を」は、天の岩戸をふまえ、夜明けの空を戸に見立てている。
四句「開けてのちこそ」は、天の戸を「開け」ることと夜が「明け」ることが重なる。係助詞「こそ」は結句の「けれ」と係り結びをなす。
結句「音せざりけれ」は、戸が開いたので叩く音もやんだという落ちである。
くひな:水鶏。鳴き声が戸を叩く音に似るとされた
あまのと:天の岩戸、転じて夜明けの空
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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昆陽の池に生ふるあやめの長き根は 引く白糸の心地こそすれ
- 次の歌
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五月雨の日をふるままに鈴鹿川 八十瀬の波ぞ声まさるなる