- 歌の意味
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五月闇の中、花橘に吹く風は、その香りを誰の里まで運んでゆくのだろうか。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 69
五月雨の頃の暗い夜、目には見えない花橘の香りを風が運んでいく行方を思いやった歌である。闇の中だからこそ香りが際立ち、その香が誰かの里に届いて昔の人を思い出させるのだろうかという余情がある。
『古今和歌集』夏のよみ人しらずの歌「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」以来、花橘の香は昔を思い出させるものとされてきた。次歌の第七十首も花橘を詠み、二首が並ぶ。初句「五月闇」は第七十四首と共有している。
初句「五月闇」は、五月雨の頃の月のない暗い夜をいう。
二句「花橘に」は、香りで知られる橘の花を示す。
三句「吹く風は」は、香りを運ぶものとして風を提示する。
四句「誰が里までか」の係助詞「か」は疑問で、結句の「らむ」と係り結びをなす。
結句「匂ひゆくらむ」は、香りが遠くへ広がってゆく様子を現在推量で思いやっている。
さつきやみ:五月雨の頃の暗い夜
はなたちばな:橘の花。その香は昔を思い出させるとされた
- 作者
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良暹
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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藻塩焼く須磨の浦人うち絶えて いとひやすらむ五月雨の空
- 次の歌
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宿近く花橘は掘り植ゑじ 昔を偲ぶつまとなりけり