種まきしわがなでしこの花盛り
いく朝露のおきて見つらむ
- 歌の意味
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自分で種をまいた撫子が花盛りになるまで、露が置く幾朝を、起きては見守ってきたことだろう。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 72
自ら種をまいた撫子が花盛りを迎えるまで、毎朝起きては見守ってきた日々を振り返る歌である。「なでしこ」には「撫でし子」、つまりいつくしんで育てた子の意が重なり、子の成長を見守る親の情とも読める。
前歌の第七十一首とともに撫子の歌が二首並ぶ。前歌が露の置いた花を眺めたのに対し、本歌は露の置く朝ごとに起きて見る人の側から詠み、露と花をめぐる視点が移っている。
初句「種まきし」の「し」は過去の助動詞で、自ら種をまいた過去を示す。
二句「わがなでしこの」の「なでしこ」は、花の「撫子」と「撫でし子」の掛詞である。
三句「花盛り」は、撫子が盛りを迎えたことを示し、ここで句切れとなる。
四句「いく朝露の」の「いく」は、幾日もの朝をいう。朝露は「置く」の縁で結句へつながる。
結句「おきて見つらむ」の「おき」は、露が「置き」と人が「起き」の掛詞である。「らむ」は現在推量である。
なでしこ:花の撫子と、撫でいつくしむ子を掛ける
おく:露が置く意と、人が起きる意を掛ける
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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詞花和歌集
- 前の歌
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薄く濃く垣穂に匂ふ撫子の 花の色にぞ露も置きける
- 次の歌
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鳴く声も聞こえぬものの悲しきは 忍びに燃ゆる蛍なりけり