- 歌の意味
- 五月闇の中、鵜飼の川にともす篝火の数を増やしているように見えるものは、蛍であったよ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 74
五月闇の中、鵜飼の篝火に混じって飛ぶ蛍の光を、篝火の数が増えたものと見立てた歌である。暗闇に揺れる火と蛍の光が重なる幻想的な夏の夜の情景である。
前歌の第七十三首と結句「蛍なりけり」を共有し、蛍の歌二首を成している。初句「五月闇」は第六十九首と共有している。
初句「五月闇」は、五月雨の頃の暗い夜で、第六十九首と同じ初句である。
二句「鵜川にともす」は、鵜飼をする川で火をともす情景を示す。
三句「篝火の」は、魚を寄せるために焚く火で、蛍の見立ての対象となる。
四句「数ますものは」は、篝火が増えたかと見える驚きを示す。
結句「蛍なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、見立ての種明かしとなる。前歌と同じ結句である。
うかは:鵜飼をする川
かがりび:鵜飼で魚を寄せるために焚く火
- 作者
- よみ人しらず
- 出典
- 詞花和歌集
- 前の歌
- 鳴く声も聞こえぬものの悲しきは 忍びに燃ゆる蛍なりけり
- 次の歌
- 風吹けば川辺涼しく寄る波の 立ち返るべき心地こそせね