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杣川の筏の床の浮き枕
夏は涼しきふしとなりけり

歌の意味
杣川を下る筏の上の寝床に、水に浮かんだ枕で横たわると、夏には涼しい寝所となることだ。
鑑賞
巻第二 夏歌 76

 材木を筏に組んで川を下る筏師の、水の上の寝床を詠んだ歌である。普段はつらい水上の旅寝も、夏には涼しい寝所になるという発見に、生活の素材を好んで詠んだ好忠らしさがうかがえる。
 前歌の第七十五首の川辺の納涼に続き、本歌は川の上そのものでの涼しさを詠む。川辺から川面へと場が移り、納涼の歌が二首並んでいる。

 初句「杣川の」は、材木を切り出す杣山から流れる川をいう。
 二句「筏の床の」は、筏の上をそのまま寝床としていることを示す。
 三句「浮き枕」は、水に浮かぶ枕の意で、不安定な旅寝を表す。ここで句切れとなる。
 四句「夏は涼しき」の係助詞「は」は、他の季節との対比で夏を取り立てている。
 結句「ふしとなりけり」の「ふし」は、「臥し」所の意と材木の「節」の掛詞である。「けり」は気づきの詠嘆である。

そまがは:杣山(材木を切り出す山)から流れる川
いかだ:材木を組んで川に流すもの
ふし:横たわる臥し所の意と、材木の節を掛ける
作者
曾禰好忠
出典
詞花和歌集
前の歌
風吹けば川辺涼しく寄る波の 立ち返るべき心地こそせね
次の歌
待つほどに夏の夜いたく更けぬれば 惜しみもあへぬ山の端の月