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待つほどに夏の夜いたく更けぬれば
惜しみもあへぬ山の端の月

歌の意味
月の出を待っているうちに、夏の夜はすっかり更けてしまったので、出たと思えばもう惜しむ間もなく山の端に沈もうとする月であることよ。
鑑賞
巻第二 夏歌 77

 夏の夜の短さを、月の出を待つうちに夜が更け、ようやく出た月を惜しむ間もなく夜が明けてしまうという嘆きで表した歌である。
 前歌までの納涼の歌に続き、夏の夜の月が置かれている。第六十一首の眠らずに待つ夜とも、短い夏の夜を待ち明かす点で響き合う。

 初句「待つほどに」は、月の出を待っている間をいう。
 二句「夏の夜いたく」の「いたく」は、ひどく、すっかりの意である。
 三句「更けぬれば」は、確定条件で、四句以下の理由を示す。
 四句「惜しみもあへぬ」の「あふ」は、十分に…しきれる意で、打消の「ぬ」とともに惜しみきれないことを表す。
 結句「山の端の月」は体言止めで、余韻を残して結んでいる。

やまのは:山の稜線
あふ:十分に…しきる
作者
源道済
出典
詞花和歌集
前の歌
杣川の筏の床の浮き枕 夏は涼しきふしとなりけり
次の歌
川上に夕立すらし水屑せく 簗瀬のさ波立ち騒ぐなり