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下紅葉一葉づつ散る木の下に
秋と覚ゆる蝉の声かな

歌の意味
下葉の紅葉が一枚ずつ散る木の下で聞くと、まるで秋のように感じられる蝉の声であることよ。
鑑賞
巻第二 夏歌 80

 夏の終わりに、木の下葉が早くも色づいて一枚ずつ散り始め、その下で聞く蝉の声にも秋の気配を感じ取った歌である。夏から秋への季節の移ろいを、視覚と聴覚の両方から繊細にとらえている。
 次歌の第八十一首と同じく、夏の巻末で秋の到来を先取りする歌である。一葉ずつ散る紅葉という小さな兆しに季節の変化を見る点で、次巻の秋の歌へと続いていく。

 初句「下紅葉」は、木の下の方の葉が先に色づくことをいう。
 二句「一葉づつ散る」は、まだ一枚ずつという秋の兆しのささやかさを示す。
 三句「木の下に」は、作者が蝉の声を聞いている場所を示す。
 四句「秋と覚ゆる」は、夏の蝉の声が秋のように感じられるという季節の移ろいを示す。
 結句「蝉の声かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。

したもみぢ:木の下の方の葉が先に色づくこと、その葉
おぼゆ:感じられる、思われる
作者
相模
出典
詞花和歌集
前の歌
常よりも嘆きやすらむ七夕は 逢はまし暮れをよそに眺めて
次の歌
虫の音もまだうちとけぬ草むらに 秋をかねても結ぶ露かな